私は、本を読む人は美しいと思います。黒田清輝やルノワールなど多くの画家も好んだ主題でした。読書する人がいるだけで、その場に知的で穏やかな空気が流れます。だから、図書館や書店が大好きなんです。
どうして、読書する姿が美しいのか考えてみました。
一つ目の理由は、本は「人」だからではないでしょうか。人は本から多くの先人の知恵や文化を受け継ぎます。その人から学ぶという謙虚で真摯な姿が美しいのです。
二つ目の理由は、本は「鏡」だからです。人は本を通して自分と向き合います。多くの人がコロナで友人と会えないつれづれを本に求めました。交流や外出がままならない今の時代だからこそ、自省・内省する姿は美しいと感じます。
三つ目の理由は、本は「翼」だからです。本を開けば、夢の世界を飛びまわることも、現実世界に飛翔することもできます。若者に限らず、新世界に飛びたつ人の姿は掛け値なしに美しいものですよね。
昔の電車やバスの中には、文庫本を読みふける人がたくさんいて、とても落ち着きました。最近はスマホばかりで便利ではあるんですが、みんな一斉にゲームやメールをする姿には何か空恐ろしさを感じてしまうのです。(※「図書館フレンズいまり」の会報に寄稿した文章に加筆しました。)(ベース鴻上)
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