最近、『古の君へ』を歌っているせいか、百人一首の和歌がふと頭に浮かびます。これもその一つ。
「瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ」(崇徳院)
急流が岩に当たって二つに別れてもまた一つになるように、別れた人と再び会いたいという想いを詠んだ歌です。
この和歌を連想させる合唱曲を思い出しました。それは、一昨年、昨年と合唱団で歌った『群青』。東日本大震災の被災地、福島県の中学生の詩による合唱曲です。
崇徳院と『群青』に共通するのは、離ればなれになった人と「きっとまた会おう」と願う強い気持ち。再会を願う心は、古の人も現代に生きる人も同じです。ただ、会いたい人が、和歌のほうはおそらく恋人なので、友を思う『群青』とはちょっとニュアンスが違うのですけれど。
未曾有の大災害に世界中が言葉を失ったあの日から、早くも6回目の3月11日を迎えます。被災地の復興、そして人々の再会を祈りつつ、子どもたちの希望と願いが込められた『群青』を、そっと思い浮かべたい日です。(指揮者N)
コメントをお書きください