いにしへのならの都の八重桜 けふ九重に にほひくるかな
平安時代に宮中に仕えた女性「伊勢大輔」が詠んだ和歌です。小倉百人一首でもよく知られています。
「昔の都の奈良の八重桜が、今日は京の都で美しく咲いています」という、季節外れの桜の歌を話題にしたのは、最近練習している曲『古(いにしえ)の君へ』の歌い出しが、この和歌だからです。奈良の高校生が書いた詩に、作曲家の千原英喜氏が冒頭に伊勢大輔の歌を加え、曲を書かれました。
テノールが上の句を、アルトが下の句を、歌を詠み上げるようにアカペラで歌います。それに続いて4つのパートがゆったりと、まるで雅楽のようなハーモニーを作り、合唱が始まります。
私たちが歌っている合唱曲はいわゆる「西洋音楽」ですが、『古の君へ』では、そこに和歌や雅楽の「和」の要素がちりばめられています。まだ取りかかったばかりの曲ですが、6月の定期演奏会を目指し、これから歌い込んでいきます。(指揮者N)
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